研究会レポート(数学)『共通テスト導入期指導を考える会~2年生後半からの取り組み~』

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2022年11月26日開催 研究会レポート(数学)
『共通テスト導入期指導を考える会~2年生後半からの取り組み~』

2022年11月26日(土)、長崎県立長崎東高等学校・猿渡雄介先生をお招きし、オンラインにて「【数学】共通テスト導入期指導を考える会~2年生後半からの取り組み~」を開催いたしました。ご講演の内容をレポートいたします。

講師紹介

猿渡 雄介(サルワタリ ユウスケ)先生
長崎県立長崎東高等学校 数学教諭。
教職歴15年、同校に赴任して6年目。現在は3学年の数学を担当。3年担任は6回目で、1学年から持ち上がって 担当するのは3回目。好きなスポーツはラグビー。好きな言葉はPassion。 多くの研修に参加し、授業改善を心がけています。ICT活用にも挑戦しながら、この3年間で変化してきた授業や、 記述とマークを並行して指導する取り組みについてもご紹介いたします。

研究会

研究会 『共通テスト導入期指導を考える会~2年生後半からの取り組み~』
講師 長崎東高等学校 猿渡 雄介先生
日時 2022年11月26日(土)14:00~15:00
対象 2024大学入学共通テストをご指導される高等学校の先生
開催形式 ZoomでのLIVE配信

研究会レポート(座談会)

講演の主な内容

  • 共通テストに向かうための数学の考え方
  • 試作問題から見えた必要な力
  • 2年生後半からの指導の概要
  • 2年生後半からの具体的指導事例、ICTの活用
  • 猿渡先生メッセージ ~不易×流行~

共通テストに向かうための数学の考え方

How型指導からの転換

以前、研修会で名城大学の竹内英人先生もおっしゃっていたように、共通テストの数学は、「How型からWhy型へ」「誘導、融合、有名」などが重要だと猿渡先生もお感じになられているそうです。昨年の共通テストで、新しいタイプや想定外の問題に手も足も出なかった現実を踏まえると、改めてHow型の指導ではなく、数学的な考え方や検証をしていくべきだとお話しいただきました。

PPDACサイクルで「見える化」「使える化」をする

大学入試センターの問題作成方針(数学)には、「教科書等では扱われていない数学の定理等を既知の知識等を活用しながら導くことのできるような題材等を含めて検討する」と明記されています。これに対応するためにも、PPDACサイクル(problem、plan、data、analysis、conclusionの略)での探究プロセスが必要で、まずはその「見える化」と「使える化」することを意識するべきではないかとお感じになられているそうです。

試作問題から見えた必要な力

令和7年度共通テストの試作問題を見てみると、数学の見方や考え方、技能を要する問題が多く、問題を解くには、まず課題の把握、「見える化」するために与えられた条件を読み取り、何をすべきかを考えることが必要だそうです。学問として学ぶ上での知識を持ち、大事なところを見極める力をつけ、しっかり読んで取り組んでほしい。振り返る力や誘導に乗る力、大事なところを見極める力、具体的に自分で図を書く力も大切だとお感じになられたそうです。これらの力を身につけたり、力が身についているかを測ったりする教材として、ベネッセコーポレーションの『直前演習』などの問題集もご紹介いただきました。

2年生後半からの指導の概要

共通テストを見据える

猿渡先生がご担当されている学年では、共通テストを見据え、『重要問題演習』に2年生11月から取り組んでおられます。公式・解法集を活用することで、共通テストに向けてどのような公式が重要かを感じてもらえるそうです。定理・公式などの知識・技能を問いの中で適用していくことは、思考力や判断力を高めることにも役立つとお話しいただきました。

より早期にゴールを見せる、そのために進度を早める

共通テスト対策と並行して大学入試の問題演習もされているそうです。授業では生徒に解法を発表させ、入試への意識を高めたそうです。より早期にゴールとなる入試問題は取り組ませることで、生徒は見通しを持つことができてよかったとお話しいただきました。早期に演習をさせるためには、進度を早める必要がありますが、無理に進めるわけではなく、ICT活用等で効率化を図りつつ、Why型指導で教科書の内容をしっかり考えさせることが大事だと猿渡先生はお感じになられているそうです。

2年生後半からの具体的指導事例、ICTの活用

具体的にこれまでの指導を振り返ると、コロナ禍でのマイナス面もありましたが、その中でICT(アンケートフォーム、授業アプリ等)を活用し、生徒の様子を把握されたそうです。また、授業中の動画、テスト解説はライブ配信や録画配信で可能になったそうです。リモートコラボで名城大学の竹内先生に来ていただいた取り組みがとてもよかったので、これからも色々な先生とコラボができたらと前向きにお話しいただきました。

資料の共有でもICTを活用され、昨年の共通テストや『重要問題演習』の解説をされたものもPDFを利用し共有されたそうです。板書もICT化できることによって、授業の中で考える時間がしっかり取れ、様々な視点から解説ができたそうです。数学探究という授業では、大学入試問題演習やグラフ作成だけでなく、東京タワーとスカイツリーが同じ高さに見える場所の計算問題を学校の建物に置き換えて、実際に測定させる指導も行っているそうです。

猿渡先生は、ICTとライブは一長一短で、授業にはライブ感も必要だとお感じになられており、ICTだけに頼らず、使い方・伝え方を考えていきたいとお話しいただきました。

猿渡先生メッセージ ~不易×流行~

「数学を楽しんでほしいですね。また、数学に理解のある人を育てることが不易な部分だと感じています。流行は、享受する力です。色々な見方や考え方、技をもち、タイムリーに必要な力を理解しながら、学びとは何かを考え、学びを味わい、楽しんでほしい。そのためにも、まずは数学に興味を持ってもらうことが大事だと感じています。そして私自身は、数学好きのみなさんと学びを深めていきたいし、面白いことをしたいです!今後ともよろしくお願いします!」と熱い言葉で締めくくられ、研究会は大盛況に終わりました。

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研究会を終えて

本研究会にご参加いただいた先生方からご感想をいただきました。

導入校の声
中国地区
K高等学校
T先生

改めて生徒自身が考えながら勉強することの大切さ実感し、そのサポートの仕方を考えさせられました。また、ICTを活用したここへの対応や宿題の個別対応などこれからの指導計画を立て直そうと思います。

導入校の声
東海地区
O高等学校
I先生

貴重なお時間を割いていただきありがとうございます。授業での取り組みや目的意識などがとても伝わり、身が引き締まる思いになりました。

導入校の声
北海道・東北地区
H高等学校
A先生

多忙の中、実践例をご教示いただきありがとうございます。問題文を読む前に、何を求められているかを把握することやどの公式がなぜ使われているかなどを学ばせていく必要性を強く感じました。本校でも生徒に還元します。本日はありがとうございました。


2022年11月26日 取材
2022年12月22日 公開

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