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大学入学共通テスト 出題の特徴と対策指導のご提案
2023共通テスト本試験(2023年1月14日・15日)の出題の特徴と、2024共通テスト対策指導について、ご提案させていただきます。PDF資料では、これまで大学入試センターより発表された、「大学入学共通テスト問題作成の基本的な考え方」、「出題教科・科目の問題作成の方針」なども合わせて掲載しております。
※出題概要の速報(2023年1月23日公開)より、2023年2月9日に記事を更新いたしました。
参考:「令和5年度大学入学共通テスト(1月14日・15日)平均点等一覧(中間集計)」(大学入試センター)
参考:「令和5年度大学入学共通テスト(1月14日・15日)(実施結果の概要)」(大学入試センター)
2023共通テスト本試験 出題の概要
2023共通テストは、過去2回の共通テストと同様に、様々な資料・題材をもとに、「活用できる知識」や「概念的な知識の理解」を問うたり、「思考力・判断力・表現力」を発揮して取り組むかたちとなっており、このような形式が傾向と言えます。
また、問題分量(ページ数や総単語数)が多く、資料を読み取る力(与えられた情報と既習の知識を関連づけて考える力、問題を解くのに必要な情報をつかむ力)が必要なことも、傾向と言えます。
難易度に関しては、中間集計では、「国語+数学I・A+数学II・B+英語」の平均点合計346.22点(600点満点)となっており、昨年の共通テストより33.69点アップという結果でした。数学の平均点が昨年より大幅アップしており、問題ごとの難易度の差はみられましたが、解きやすい問題があったことがうかがえます。
2024共通テストに向けては、昨年同様に、平均得点率(難易度)5割程度を念頭に、早い段階での「活用できる知識」の習得と、受験直前期での「与えられた情報と知識を関連づける力」「必要な情報を素早くつかむ力」の育成が望まれます。また、出題形式や内容は共通テストの「問題作成の基本的な考え方」「問題作成方針」に則ったものになっており、いま一度、確認しておきたいところです。
出題の特徴、対策指導
国語
全大問で複数のテクストを比較・関連づける思考力を問う出題がみられ、応用的・発展的な思考力がより求められました。
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国語
昨年までと同様、全4大問構成で出題されました。全大問で複数のテクストが提示され、全体の文章量はやや増加しました。第2問の文学的な文章では、本文と同時代に作成された広告を踏まえて本文の表現を考察する出題が、第4問では官吏登用試験の【予想問題】と【模擬答案】を用いた出題がありました。複数の生徒による話し合いの場面や、本文の内容と資料を踏まえて【文章】を書く場面など、言語活動の過程を重視した出題も引き続きみられました。
数学
数学Ⅰ・A 、数学Ⅱ・Bともに、昨年に引き続き、日常事象を題材にした問題や、振り返って得られた結果を活用する問題が多く出されました。また、数学Ⅰ・A、Ⅱ・Bともに各問題の導入部分は取り組みやすいものが多く、昨年より易化しました。
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数学Ⅰ・A
大幅に難化した昨年より易化しましたが、昨年同様、日常事象や探究場面を題材にして、前問や構想の意図を理解して解き進める問題が多く、考察の意図を読み取れるかどうかで差がつく問題が出されました。
また、例年出題されていた「集合と命題」は出題されず、場合の数と確率は「場合の数」のみの出題でした。第2問〔2〕 2次関数では、バスケットボールの2つの軌道を比較する問題で、長文を読解する力が問われました。また、第3問 場合の数と確率と第5問 図形の性質では、「構想」をもとにして考察する問題が出されました。
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数学Ⅱ・B
どの問題も導入部分の設問は取り組みやすく、大幅に難化した昨年より易化しました。数学Ⅰ・A同様、日常事象を題材にして考察する問題や、誘導の意図を理解して解き進める問題が多く出されました。
日常事象について考察する問題は、第2問〔2〕 微分法・積分法でソメイヨシノの開花予想日、第3問 確率分布と統計的な推測ではピーマンの分類、第4問 数列では預金の複利計算が題材として出題されました。
英語
リーディング、リスニングともに、昨年から出題形式に大きな変更はありませんでした。様々な場面を題材にして、実用的な英語力が問われました。
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英語(リーディング)
昨年同様、全6大問で読解問題が出されました。素材の語数は昨年とほぼ同じ(約4,500語)でしたが、解答数が1つ増え、48個から49個になりました。日常的な文章から説明文まで、様々な英文が出題され、概要や要点を把握する力や必要な情報を読み取る力などが問われました。チラシやブログから情報収集する場面や、プレゼンテーション資料を作成する場面が与えられ、知識や技能を実際の場面で活用する力が求められました。
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英語(リスニング)
昨年同様、6大問構成で出題され、概要や要点を把握する力や必要な情報を聞き取る力などが問われました。授業でワークシートを完成する場面や、4人から説明を聞く場面が与えられました。第6問では、4人の会話を聞き取る問題が出され、必要な情報を注意深く聞き取る必要がありました。また、音声は第1問・第2問は「2回読み」、第3問~第6問は「1回読み」でした。音声速度は平均で約140語/分と、昨年とほぼ同じ速度でした。イギリス英語の話者や英語を母語としない話者が含まれている点も、昨年同様でした。
理科(1)
基本的な知識の理解に加えて、受験生にとって初見の図・グラフを読み解くなど、思考力・判断力・表現力を要する出題でした。
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物理基礎
3大問構成で、全体的にオーソドックスなタイプの設問が多くみられました。その中で、運動エネルギーの大小関係を、計算を用いずに定性的に考えさせる問題が特徴的でした。日常生活や社会との関連を扱った第3問は、風力発電についての探究活動を題材として、発電と送電のしくみを考えさせる内容でした。
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化学基礎
昨年と同様、2大問構成で出題され、第1問では化学基礎のすべての分野から幅広く扱われました。第2問では、化学基礎で扱われない分析手法(モール法)が題材に扱われ、実験内容の正確な理解と、関連する知識事項の活用が求められました。また、各大問で計算問題が複数みられ、正しく立式し、計算する力が求められました。
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生物基礎
3大問構成で生物基礎の各分野からまんべんなく出題されました。教科書で扱われる基本的な内容を、扱う図の見せ方を変えたり、人工衛星でとらえた地表の反射光のデータのような、関連した素材を扱ったりして出題しており、知識事項の正確な理解と、見慣れない図への対応力が求められました。また、実験結果の考察や仮説をもとに実験結果を予測する問題も、引き続き出されています。
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地学基礎
昨年と同様、4大問構成で出題され、地学基礎に関する知識・理解が幅広く問われました。図式化された情報の誤りを正す問いのように、知識の体系的な理解のほか、計算力や、与えられた資料の内容を理解することが求められました。第4問では、日常生活や社会と関連した出題として、自然の恵みが題材に扱われました。
理科(2)
実験や仮説の検証をとおして、知識の理解や、思考力・判断力・表現力を重視した出題でした。
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物理
実験考察問題を中心とした4大問構成で出題されました。第2問は、空気中での落下運動における抵抗力の大きさと物体の速さの関係を導くプロセスを追体験させる内容で、データを処理する力や、結果を検証する力、得られた実験データから物理量の関係を見出す力が求められました。また、過去2年続けてみられた、大問または中問単位での「原子」分野の出題はありませんでした。
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化学
化学の各分野について、基本的な知識・理解をみる問題から、分野に関連する見慣れない実験を扱った考察問題まで、幅広く出題されました。正確な計算力を要する問題や、方眼紙にグラフを描いて解答する問題が出されるなど、問題文を読み解いて解答の方針を的確に立てる力が、引き続き求められました。
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生物
生物の各分野から幅広く、分野を横断した形式で出題されました。また、すべての大問を通して実験データが扱われ、結果に対する考察・推論のほか、仮説が正しいことを証明するための手法なども問われました。問題の解答には、与えられた情報を問題文から的確に読み取り、素早く正確に選択肢を判断する力が求められました。
地理・歴史
全体的に複数の資料を扱う問題が多く出され、多面的・多角的に考察する力が問われました。昨年に比べて、日本史Bは易化、世界史Bは難化しました。
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日本史B
昨年に引き続き、多くの文章資料に加え、年表・地図のほか、旅行の行程表などのさまざまな資料が用いられ、題意や資料趣旨の把握に負担を要する問題がみられました。大問のまとめとなる問題や複数の資料を関連付けて考察する問題など、資料やリード文の情報をもとに考える力が求められました。
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世界史B
文献資料や統計などの資料を用いながら、授業を想定した展開のパートが目立ち、昨年と比べ、会話文や資料の分量が増加しました。「推測」の根拠を歴史上の出来事に基づいて考察する問題や、資料の性質を踏まえて考察する問題なども出され、これまで以上に学習した知識をもとに資料を読解し、吟味・検討する力が求められました。
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地理B
出題されたすべての設問が何らかの資料をもとに判断する設問でした。昨年同様、地図と文章、地図と統計資料と文章など、複数の資料を組み合わせる出題が多く、解答形式も、組合せを選ぶ形式が約6割でした。問われている知識は標準的でしたが、知識をもとに資料の着眼点を正しく見つけて、正しいプロセスで解答を導くという地理的思考力が確実に身に付いていることが求められました。
公民
高校生の探究の過程を意識した出題がみられました。全体的に資料を扱う問題が多く出され、学習事項を具体的な事例で考察する力が求められました。倫理と政治・経済が難化したことで、「倫理,政治・経済」の平均点が大きく下がりました。
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現代社会
全大問で高校生の学習場面が題材として取り上げられ、多様な資料を使って思考力が問われました。国際経済分野からの出題が増え、全分野を丁寧に学習しておくことが求められました。また、宗教的な慣習の異文化対立、医療資源の格差問題、街中の防犯カメラの是非、子どもの貧困など現代社会らしい事項も問われ、日ごろからニュースなどに関心を持っておくことが重要でした。
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倫理
昨年に引き続き、高校生の学習場面を題材とした会話文などで構成され、さまざまな資料が用いられました。正確な知識や思考力、判断力が求められ、知識を踏まえて原典資料を読解し論理的思考力を問う問題や、思想家の考え方や資料の内容を具体例に当てはめて考察する問題が出されました。また、生徒同士の会話中の空欄に当てはまる記述を選ぶ問題もみられ、会話の流れからそれぞれの生徒の立場を整理し、主張の趣旨を読み取る力も求められました。
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政治・経済
基礎的事項の深い理解が求められ、用語の意味の理解だけではなく、学習事項を具体的な事象に当てはめたうえで考察する力を求める問題などが出されました。経常収支の内容の知識をもとに資料を読み解いたり、日本の国際収支の変化に関する知識を問うたりする出題がありました。また、日本国債の保有者の構成比について変化の理由を考察する問題が出されました。
特報 2023共通テストに弊社教材と同じ題材の問題が出されました!
今後も弊社では、問題の質・出題のバランス・難易度に留意し、共通テストの得点に直結する教材の提供に努めてまいります。
2023年1月23日 公開
2023年2月9日 更新
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