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2021年10月17日(日)開催 研究会レポート(歴史)
『これからの地理総合・歴史総合・公共のご指導を考える会』 -
2021年10月17日(日)オンラインにて『これからの地理総合・歴史総合・公共のご指導を考える会(歴史)』を開催いたしました。
研究会の詳細
テーマ
これからの地理総合・歴史総合・公共のご指導を考える会
半年後に控えた新指導要領に向けて、どのように指導を行っていくかでお困りの声を多くお聞きいたします。 この研究会では、ご検討を進められている先生方に現時点の状況をご発表いただき、議論することで、先生方と一緒に実践事例や観点を得てまいりました。
パネリストに六甲学院高等学校の森本先生、箕面自由学園高等学校の大東先生、修猷館高等学校の福崎先生をお招きし、現在の検討状況についてご共有いただきました。各校からの事例のご紹介後は、三人の先生方でパネルディスカッションを行いました。今回は、その中の一部をお伝えします。
パネリスト(学校)紹介
研究会
研究会 |
これからの地理総合・歴史総合・公共のご指導を考える会(歴史) ~新指導要領へむけた実践事例のご発表と意見交換~ |
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日時 | 2021年10月17日(日)14:00~16:00 |
対象 | 高等学校・中高一貫校(中等教育学校)の先生 |
開催形式 | ZoomでのLIVE配信 |
研究会レポート
パネルディスカッション
観点別評価に取り組むにあたって、現在どのようなことを考えていますか?
- 森本先生
- 私立校なので、学校全体として指示は出ていませんが、それぞれの教師が初回の授業でどういう観点で成績を出すかは生徒に伝えるようにしています。たとえば、多様な資料を提示して生徒に考えさせるという授業であれば、生徒の主張と根拠とした資料に整合性があるかどうか、という観点で評価ができるのではないかと考えています。
- 大東先生
- 一つの授業のみで観点別に評価を行うのは非常に難しいです。体験学習など、生徒がさまざまな活動に取り組むなかで、学期全体を通して総合的に評価できるのではないでしょうか。
- 福崎先生
- 観点別評価についてはさまざまなことが言われています。三つの観点で均等に評価するという話もありますが、個人的には、教科の特性によっても異なるので、どこに重みをつけるかは先生の指導に合わせて変えればよいのではないかと考えています。
大東先生へ:
課外活動を組織的に取り組むうえで、どのような課題がありましたか?
- 大東先生
- 私立校ということもありますので、入学して早い段階で「この学校に入ってよかった」と生徒に思ってもらえるように、特色のある取り組みを行おうという話になりました。このように、先生全体で共通の課題感があったので、いろいろな取り組みを行うことにはあまり抵抗はありませんでした。ただし、英数国の先生は忙しいので、理科と地歴公民の先生で引っ張って活動するようにしています。また、生徒の反応がよかったことも、後押しになりました。
森本先生へ:
答えのない「問い」に対して、自分なりの考えを書かないといけないのに正解を探そうとする生徒には、どのような指導を心がけていますか?
- 森本先生
- 答えのない「問い」を考える力は大学入学後に強く求められるものですが、最近は中学や高校でも求められるようになっていると感じています。定期試験を作る際、「授業内で扱った資料を一つ取り上げて、その資料について説明しなさい」という設問を設け、ある程度書けていたら一律に点を与えるようにしています。また、歴史の先生に多いように思いますが、先生が「答え」を断言しすぎるのもよくないのではないかと考えています。私は、あえて答えを言わないようにして、生徒に考えさせるように投げかける、ということも授業のなかで行っています。その時点でわからないことも、大人になってからわかることも往々にしてありますので、必死に思考した上での「わからない」は、その時点における立派な「答え」の一つだと考えています。
福崎先生へ:
生徒の主観的な考えをきくような「問い」はどのように評価するか?
- 福崎先生
- 授業では、多様な見方があることを気づかせ、生徒の判断とその根拠の整合性を確認するようにしています。一方、定期テストでは、基本的な知識の理解を確認するようにしています。授業で主観的な考えを問うたからといって、定期テストで出題する必要はなく、それは授業の場面で評価すればいいと思います。
「大きな視点で学ぶ」ということについて意見を聞かせてください。
- 大東先生
- 教室内にとどまらないということを意識し、教科書から脱却することを心がけています。博物館などでの体験学習を通じて、生徒のなかから問題意識が出てくることが大事だと考えています。
- 福崎先生
- 社会とのつながりを、生徒にどう感じさせるかが大事ではないでしょうか。生徒の育った環境や学習経歴、学校の実態などを踏まえて授業は設計しています。日本史の授業であれば、地域の文化財を使うことで、現実社会とのつながりをとらえさせることができます。
最後に先生方から一言ずつお願いします。
- 大東先生
- 歴史総合に代わることで、従来のA科目よりは目指すゴールがわかりやすくなったと感じています。生徒にも歴史学習の必要性を伝えやすくなりました。生徒のことをよく観察して主題を設定し、深い学習をできればと思います。
- 森本先生
- 歴史総合の教科書を見て、資料の多さを痛感するとともに、授業準備にあたって新しい資料を探していなかった、今までの自己の授業スタンスを見直そうと思いました。社会に出れば答えのないことばかりなので、生徒とともに悩みながら、答えのない「問い」について一緒に考えていく授業をつくりたいと考えています。
- 福崎先生
- 歴史科目に大きな変化が待ち受けていますが、大きな変化だからこそチャンスととらえたいです。簡単には変われないかもしれませんが、今までのよいところも残しながら、変わっていくための議論の余地がたくさんあるのが、これからの地歴公民科だと思います。多くの方と議論しながら、考えて実践して、また考えてという繰り返しをしていきたいです。
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研究会を終えて
本研究会にご参加いただいた先生方からご感想をいただきました。
- 関東地区
W高等学校
Y先生
3人の先生方の特長ある取り組みを拝聴させていただき、参考になりました。今年度中に、現行科目で試験的に実施しようと思いながら、着手のポイントが掴めないでいました。本日の実践例を伺い、まずは「1.資料活用の工夫」と、「2.『問い』を立てる」の2点に的を絞って計画を立ててみようと思いました。
- 関東地区
T高等学校
S先生
お三方のお話は、どれも学校の実態に合わせて歴史総合の授業をどうするかを組み立てられていて大変勉強になりました。どの先生方も、歴史を学ぶ意義、正解のない答えを出す力、如何に自分ごととして考えられるかが工夫されていて参考になりましたし、自分もその観点を取り入れて授業をデザインしようと改めて思いました。
2021年10月17日 取材
2021年11月17日 公開
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H高等学校
K先生
普段、なかなか他の社会科の先生方と交流する機会がなく、とても刺激をいただきました。授業改善、外部機関・専門機関との連携、評価の妥当性・客観性、カリマネなど先生方の実践から学ばせていただきました。またこのような機会をぜひお願いします。