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大学入学共通テスト 出題の特徴と対策指導のご提案
2024共通テスト本試験(2024年1月13日・14日)の出題の特徴と、新課程対応初年度となる2025共通テスト対策指導について、ご提案させていただきます。PDF資料では、これまで大学入試センターより発表された「大学入学共通テスト問題作成の基本的な考え方」、「出題教科・科目の問題作成の方針」なども合わせて掲載しております。
※出題概要の速報(2024年1月23日公開)より、2024年2月9日に記事を更新いたしました。
参考:「令和6年度大学入学共通テスト(本試験)平均点等一覧(中間集計)」(大学入試センター)
参考:「令和6年度大学入学共通テスト(1月13日・14日)(実施結果の概要)」(大学入試センター)
2024共通テスト本試験 出題の概要
2021~2024共通テストは、現高1生の課程である「平成21年告示高等学校学習指導要領」のもとでの実施であり、2025共通テストでは「平成30年告示高等学校学習指導要領」(新学習指導要領、新課程)のもとでの実施となります。
共通テストは、教育改革である高大接続改革の一つとして始まり、問題作成方針として、
1 「問いたい力」を明確にした出題
2 「知識の質」や「思考力、判断力、表現力」を重視した出題
3 「どのように学ぶか」を踏まえた問題の場面設定
が掲げられました。出題内容は従前課程のものですが、重視される力と、出題形式が特徴でした。
具体的には、知識の質(概念的な知識の理解、活用できる知識)を問う問題や、思考力・判断力・表現力を発揮して解く問題が重視され、形式面では複数の資料や題材、初見の資料、社会や日常生活に関連した題材、学習の過程の場面設定などにより、実戦的な力として、必要な情報を素早くつかむことや、与えられた情報と既習の知識とを結びつけて考えることが必要でした。
2025共通テストでは、これらの方針や特徴は変わらず、これも教育改革の一環である、初等中等教育改革による「新学習指導要領」のもとでの実施となり、その趣旨がより明確になることが考えられます 。具体的には、 「何ができるようになるか」という各教科・科目の目標 、そのために「何を学ぶか」という各教科・科目の内容とその扱い、「どのように学ぶか」すなわち「主体的・対話的で深い学び」の実現までが、共通テストに関連してきます。
2024共通テスト 出題の特徴、対策指導
2024共通テスト 国語
[傾向]
昨年と同様に、全大問で複数のテキストが提示され、応用的・発展的な思考力が求められました。
[変化]
文章を推敲する設問や詩の鑑賞についての設問など、新課程を視野に入れたと思われる問題が出されました。
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国語
[形式]
全4大問構成で、全大問で複数のテキストが提示されました。
[内容]
第3問古文において、サブテキストとして現代文が用いられたのが目新しい形式でした。文章を書く場面や対話など、学習の過程を重視した出題も引き続きみられました。
[特記事項]
自分が書いた文章を推敲するという言語活動を重視した設問(第1問)、資料をふまえ多面的・多角的な視点で詩を鑑賞する設問(第4問)など、新課程を視野に入れたと思われる問題が出されました。
2024共通テスト 数学
[傾向]
新課程でも重視される「考察過程を振り返って得られた結果や考え方を活用する問題」が、昨年に引き続き多く出題されました。
[変化]
誘導なしで解決の構想を立てる力を問う問題や、抽象的な内容で知識の理解の質を問う問題が出題されました。
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数学Ⅰ・A
[形式]
昨年同様、5大問構成で、対話形式の問題や日常事象の問題が出題されました。
[内容]
第1問〔2〕では、太陽高度などを利用して、電柱の高さや電柱の影の長さを求めるという日常事象の問題が扱われ、第3問では、前設問の求め方を利用して解いていく形式の振り返る力を問う問題が出題されました。
[特記事項]
第2問〔1〕は、変数の設定や場合分けを自分で考える必要があり、条件を立式する力や、解決の構想を立てる力が求められました。
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数学Ⅱ・B
[形式]
昨年同様、5大問構成で、前設問が正解の場合に限って点が与えられる問題が初めて出題されました。
[内容]
本試験では初めて、「三角関数」からの出題がなく「式と証明・複素数と方程式」から出題されました。また、同値な条件を考察する際に、条件から何が導かれるかを正確に表現する力が問われました。第2問では、定積分と面積の関係について深い理解が問われ、抽象的な内容を誘導の意味を理解して解くことが求められました。
2024共通テスト 英語
[傾向]
リーディング、リスニングとも、昨年と同様に、様々な場面を題材にして、実用的な英語力が問われました。
[変化]
文脈から書き手や話し手の意図を「推測する問題」や「複数名の意見と資料から解答を導き出す問題」など、新課程を視野に入れたと思われる出題がありました。
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英語(リーディング)
[形式]
昨年同様、全6大問で読解問題が出されました。素材文の語数は、昨年より約400語増加し、約4,900語となりました。
[内容]
日常的な文章から説明文まで、様々な英文が出題され、概要や要点を把握する力や必要な情報を読み取る力などが問われました。
[特記事項]
明確に述べられていない事柄を記述や文脈から「推測する問題」や「複数名の意見と資料などの情報を整理して判断する問題」が、複数の大問で出されました。
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英語(リスニング)
[形式]
昨年同様、全6大問で出題されました。
[内容]
音声とイラストや図表などを組み合わせて答える問題が出題され、 概要や要点を把握する力や必要な情報を聞き取る力などが問われました。
[特記事項]
第4問A問18~21で、イラスト並べ替え問題が復活しました。第5問では、「~ではないもの」を選ぶ問題が出題され、より注意深く音声を聞き、選択肢の内容を押さえることが求められました。
2024共通テスト 理科(1)
[傾向]
基本的な知識・理解をもとに、与えられた情報を整理して判断・考察する力が求められました。また、新課程でも引き続き重視される、 身近な課題等を題材にして科学的に探究する問題が出されました。
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物理基礎
[形式]
昨年同様、3大問構成でした。
[内容]
ジャガイモを水中に沈める実験を題材に浮力に関して考察する問題や、空気中の音の速さを三つの方法で測定し考察する問題など、 探究的な活動を題材とした出題がみられました。教科書に掲載がある物理法則や公式を適切に適用し、 定性的・定量的に考察する力が求められました。
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化学基礎
[形式]
昨年同様、2大問構成でした。
[内容]
第1問では、化学基礎のすべての分野が幅広く扱われました。第2問では、宇宙ステーションの空気制御システムの化学反応に関する問題が出され、化学反応の量的関係、酸化還元、分子の極性、電気分解などについて問われました。 見慣れない化学反応式を利用する問題が出され、初見の化学反応への対応力が求められました。
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生物基礎
[形式]
昨年同様、3大問構成でした。会話文はなくなりました。
[内容]
墨汁を注入した腎臓の切断面を考える問題や、火入れと刈取りが生物多様性に与える影響について与えられたグラフをもとに考察する問題など、知識や概念を正確に理解したうえで、事物・現象を科学的な視点で捉えて考察する力が求められました。また、 教科書に掲載されている基本的な知識を活用して判断する問題が増えました。
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地学基礎
[形式]
昨年同様、4大問構成でした。
[内容]
地学基礎に関する基本的な知識・理解、 時間的・空間的関係の理解、思考力・判断力を問う問題など幅広く出されました。第4問では、火山の噴火による災害をテーマに、軽石の漂流のようすから、二つの海流の速さの違いを考える問題が出されました。
2024共通テスト 理科(2)
[傾向]
実験や仮説の検証をとおして、知識の理解や、思考力・判断力・表現力が求められました。また、新課程でも引き続き重視される、 目新しい資料やグラフについて科学的に考察する問題が出されました。
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物理
[形式]
昨年同様、4大問構成でした。原子分野の出題は小問のみでした。
[内容]
ペットボトルロケットの運動、弦に交流電流を流したときに生じる弦の固有振動、導体紙上に生じる電場など、 探究的な活動を題材とした出題が多くみられました。設定の把握に時間を要する問題が多く、 実験内容を正確に理解し知識を活用する力が求められました。
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化学
[形式]
昨年同様、5大問構成でした。
[内容]
第5問では、質量分析法に関する問題が出されました。見慣れない題材のうえ、知識だけでは解答できない複雑な問題が多く、 問題文や表・グラフなどから情報を正確に読み取って答えを導く思考力が求められました。昨年出題がみられた、数値穴埋めで解答する問題と、グラフを描図して答えを求める問題は出されませんでした。
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生物
[形式]
昨年同様、6大問構成でした。
[内容]
仮説を検証するための実験計画を立てる問題、シュミレーションをもとに現象について考察する問題など、 思考力を重視する問題が出されましたが、基本的な知識を活用して判断する問題も出されました。また、複数の大問で分野融合問題が出されました。
2024共通テスト 地理・歴史
[傾向]
全体的に複数の資料を扱う問題が多く出され、 多面的・多角的に考察する力が問われました。新課程でも引き続き重視される、 仮説を立て類推したり、課題解決に向けた思考力を求める出題がありました。
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日本史B
[形式]
大問数・小問数・解答数に変更なし。
[内容]
印刷の変遷、古代の食物や調理道具など、日常生活に関するトピックから出題が展開されました。 文章資料に加え、統計グラフ、写真など多彩な資料を通じ、読解力が引き続き求められました。 受験生が苦手とする、 時期の判断を要するものに加え、知識の定着を前提にした出題も多くみられました。
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世界史B
[形式]
大問数は5から4に、解答数は34個から33個に減少。
[内容]
文献資料やグラフなど様々な資料が用いられ、それらの資料やリード文などから必要な情報を読み取り、基本的な知識と組み合わせて考察する力が求められました。 対比や比較の観点から考察したり、 仮説を立て類推する出題が見られました。
[特記事項]
本試験としては初めて連動型の問題が出題され、資料からの読解をもとに解答することが求められました。
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地理B
[形式]
大問数は昨年同様。解答数は31個から30個に減少しました。 出題されたすべての設問が何らかの資料をもとに判断する設問でした。
[内容]
限られた時間のなかでの図表読解力と地理的思考力が問われました。基礎的な知識をもとに判断できる問題も多く、知識と現実の地理的事象を結びつけて定着させていることが求められました。
2024共通テスト 公民
[傾向]
全体的に資料を扱う問題が多く出され、知識を踏まえて、 学習事項を具体的な事例で考察する力が求められました。 資料の文章量が増加し、 情報を整理する力や、 論理的思考力がより必要とされました。
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倫理
[形式]
昨年同様、4大問で解答数33個でした。昨年に引き続き、高校生の会話文などで構成され、多様な資料が用いられ、時間配分を考えながら解く必要がありました。
[内容]
知識を踏まえて、会話文の内容や原典資料を読解し論理的思考力を問う問題や、 事例から思想家の考え方を問う問題などが出され、 正確な知識や思考力、判断力が求められました。また、会話文からそれぞれの立場を整理し、資料から主張の趣旨を丁寧に読み取る力も必要でした。
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政治・経済
[形式]
昨年同様、4大問で解答数30個でしたが、ページ数が36→39Pに増えました。
[内容]
基礎的事項の深い理解が求められ、用語の意味の理解だけではなく、GDPデフレーターや比較優位など、 本質的な意義まで理解していることが求められました。また、平均消費性向や宇宙条約といった、 文章を読みながら、その意味を理解して考察させる出題がみられ、限られた解答時間で情報を整理する力が今年も重視されました。
2024年1月23日 公開
2024年2月9日 更新
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