研究会レポート(国語)新課程国語指導は、ここがポイント!文学的文章で身につける『読み解き方』

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研究会の詳細

2022年10月8日(土)、上宮太子高等学校・福田 和憲先生をお招きし、オンラインにて「新課程国語指導は、ここがポイント!文学的文章で身につける『読み解き方』」を開催いたしました。ご講演の内容をレポートいたします。

講師紹介

福田 和憲(フクダ カズノリ)先生
早稲田大学教育学部卒。教職25年目。
上宮太子高等学校赴任後、野球部を14年指導し、コーチとして甲子園出場春1回、夏1回。2年前の休校時には、ICT教育推進室長としてオンライン授業を整備、同時に生徒用iPad導入やICT授業の普及に奔走。国語科主任は謎の13年目。今日も後輩教諭と共に、「楽しみながら、論理的に読み、表現する」ための、新しい国語の授業のあり方を追求し続けている。現在、進路指導部長兼国語科主任、硬式テニス部顧問。また、浄土宗念誦院住職。特技は野球、書道、水泳、ピアノ。

研究会レポート

講演の主な内容

  • 「文学的文章」の新課程対応についてのご提案 ~文科省の要請とは~
  • 要請されている学習形態を実現するために
  • (補足)新しい「国語の教授法」とは何か
  • 福田先生メッセージ ~未来の日本を担う生徒たちのため~

「文学的文章」の新課程対応についてのご提案 ~文科省の要請とは~

福田先生は自己紹介の後、文部科学省(以下、文科省)があげている高校国語に関する問題点と要請についてお伝えくださいました。問題点は、教材への依存度が高く、講義調の伝達型授業に偏っている傾向があることです。これを脱するための文科省の要請は、「新課程では講義調の授業から脱却し、アクティブラーニングや表現能力がつくような学習形態を目指してほしい」ということだとお話しいただきました。

要請されている学習形態を実現するために

進研WINSTEP Coreを有効利用した効果的な自主学習

福田先生は時間的な制約も考え、旧課程の現代文の小説では『羅生門』や『城の崎にて』などを学習した後は、WINSTEP Core国語I 文学的文章編をつかった自主学習をすすめているそうです。狙いは「スキルの汎用化」。自分で自分を高めることができる教材で、「文章を正しく読み解くスキル」を生徒たちに身につけてほしいとのことでした。

文学的文章読解の最重要事項である契機(きっかけ)→心情→行動・状態の流れを押さえることができるように工夫された点などもご紹介いただきました。

共通テスト対応について

過去2年の共通テストでは、「小説」の扱いに大きな変化はなかったと感じられているそうです。ただし、「複数テキストの処理」「筆者と異なる立場からの見解を答えさせる」など、文科省の意図が見える新傾向問題があり、新しい答え方が必要となっていることや試験時間が90分になる2025年は注意が必要ということでした。そして、読解力に加えて、多面的・多角的な解釈から正解を導く力が求められており、そのためには引き出しを増やしてあげる必要があるとお話されました。

新課程の評価(観点別評価)について

新しい評価軸は「知識・技能」のみではなく、「思考力・判断力・表現力」にも重きが置かれています。上宮太子高等学校では「思考力・判断力・表現力」については、「知識を汎用化できているか」を定期考査内で一定数問うようにしており、評価の根拠としているとのことです。

その中でも同校で言語文化を担当している小椋由佳里先生のお取り組みをご紹介していただきました。複数テキストを比較して違いを判断させたり、論理的に思考させたりする定期考査問題を作成され、テスト中に生徒自身に考えさせています。解説では、出題の狙いや解答への道筋だけではなく、不正解解答(×)、三角解答(△)も掲載。何故三角なのかの根拠を解説し、正答例も列挙することで、全員の意識の汎用化につなげているそうです。生徒が知識を汎用化しながら力を伸ばせる工夫をされているとのことでした。

(補足)新しい「国語の教授法」とは何か

アクティブラーニングにICT機器活用を効果的に絡ませる指導法

新課程で必要な授業の形態とは、低学年から言語活動をインプット、アウトプットする練習を積ませることだと福田先生はお考えになられているそうです。福田先生が実践されているアクティブラーニングの手順としては、まず毎時間くじで3名、多くても4名に「グループ分け」、次に「班長決め」をし、汎用化スキルを使って相手にどう伝えるかを自分一人で再確認する「内化」をします。班長を中心にすべての生徒が汎用化スキルを根拠に発言しながら、グループとして問題の解答を作成します。その後自分の解答の根拠を示しながら話し合う「外化」を経て班ごとに「採点」し、正しいアプローチ方法の解説を通して「再内化」をするそうです。このように、生徒は、インプットした「汎用化できるスキル」を使って(→アウトプット)共通テストの対策問題に取り組み、実力を養成しているそうです。

反面、アクティブラーニングの弱点は、生徒の達成度、全体の理解度を個別に集計・分析できないことだそうです。また、上位の子は下位の子に与えるだけになっていないかという危惧もあったそうです。しかし、ICT機器を利用した取り組みによってこれらの課題を解決したそうです。

ICT機器を利用した取り組み

上宮太子高等学校では、2年前からiPadを導入。昨年度、ラーンズコネクトのモデル校として、「共通テスト対策 直前演習」全教科でご活用されました。「共通テスト対策 直前演習」は、ラーンズコネクトの機能によって、瞬時に採点することができます。さらに、生徒個人別での採点結果に応じた復習ポイントが示されます。先生方は集約された採点結果のデータで個人別はもちろん、クラス全体の弱点も即座に把握できます。これを活用した効率的、効果的なご指導によって「共通テスト本番での好結果につながった」とのことです。

ラーンズコネクトの利活用によって、今まで実施していたアクティブラーニングにICT機器をうまくマッチさせながら、新しい授業の形ができていると福田先生はお感じになられているそうです。動画やICT機器を使うことによって限られた時間を有効活用し、学習効果の高い方法を模索していきたいお話しされていました。

福田先生メッセージ ~未来の日本を担う生徒たちのため~

「今日の出会いが、先生方の今後の教育活動に少しでも役立つものとなったならば幸いです。新しい教育への対応、なかなか険しい道のりです。しかしながら、未来の日本を担う生徒たちのため、お互い身を粉にしながら、あまり無理をしないでもいい方法も考えて頑張ってまいりましょう!」と熱い言葉で締めくくられ、研究会は大盛況に終わりました。

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研究会を終えて

本研究会にご参加いただいた先生方からご感想をいただきました。

導入校の声
九州・沖縄地区
F高等学校
I先生

高校3年の共通テストに関する授業の方法についてとても参考になりました。生徒の話し合い活動について、3~4人が適当という具体的なポイントや、小宮先生のテストのお話もとても有り難かったです。

導入校の声
東海地区
T高等学校
K先生

具体的な取り組み事例のなかで、自分の授業にも取り入れることができる要素を発見できました。新しい状況に対応するために日々の努力を欠かさない先生の姿勢に尊敬の念をもちました。私も精進します。

導入校の声
関東地区
U高等学校
H先生

具体的なお話しをしていただき、大変参考になりました。低学年でのインプット、最終学年ではアウトプット重視で教えすぎないことも大切だと感じました。ありがとうございました。


2022年10月8日 ご講演
2022年11月21日 公開

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