研究会レポート(数学)『2024 大学入学共通テストに求められるチカラとは』

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2023年2月4日 開催 研究会レポート(数学)
『2023大学入学共通テストの問題分析のご報告と指導事例』

2023年2月4日(土)、名城大学 教職センター教授・竹内 英人先生をお招きし、オンラインにて「2024大学入学共通テストに求められるチカラとは」を開催いたしました。ご講演をレポートいたします。

研究会の詳細

講師紹介

竹内 英人先生
名城大学 数学教育研究分野。
現在は、名城大学 教職センター教授(元愛知県公立高校教員)として、将来、中学校、高校の数学の教員を目指す学生を指導している。新入試(テスト)に向けた数学指導やアクティブラーニングについて研究・実践指導を行う。 また、学校、塾、予備校、企業の垣根を取り払った勉強会を定期的に開催しつつ、全国の高校や塾、予備校に出前授業や教員研修を行っている。著書は「重要問題演習」(ベネッセコーポレーション)、「キミが学びを深める 数学Ⅱ・B」(ベネッセコーポレーション)、中学校・高等学校数学検定教科書、「 フォーカスゴールド」( 啓林館)など多数執筆。

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研究会 2024大学入学共通テストに求められるチカラとは
~2023大学入学共通テストの問題分析のご報告と指導事例のご講演~
講師 名城大学 数学教育研究分野 竹内 英人
日時 2023年2月4日(土)14:00~16:00
対象 2024大学入学共通テストをご指導される高等学校の先生
開催形式 ZoomでのLIVE配信

研究会レポート

講演の主な内容

・2023年共通テスト数学全体の概要と分析
・2024年共通テストに向けた今後の指導について
・質疑応答

2023年共通テスト数学全体の概要と分析

数学は全体的に易化

2023年の共通テスト数学はⅠA・ⅡBともに大幅に易化しました。ただ、今年は昨年に比べると問題の面白みが減り、安易なつくりになったように感じます。平均点はⅠA 55.65点で昨年より+17.69点、ⅡBは61.48点で昨年より+18.42点と、約60点のラインまで持ってきています。入試センターが平均点を50点にもってくると発信しているので、次回の3回目には50点を狙ってくるのではないでしょうか。

2023年は「誘導」の年

以前より、共通テストの数学では、「有名、誘導、融合」という3つの「ゆう」があるとご紹介していますが、今年は誘導の年でした。平均点は上がりましたが、問題自体が易しいわけではありません。丁寧な誘導がついたおかげで、考えなくても答えが埋まってしまう側面があり、易化したのではないかと感じています。

また、定性的な問いが目立ち、変わらず処理能力は求められていると感じました。ただ、処理能力は読解力だけが必要というものではなく、いらない情報をどう切るかが問われています。問題文が長いので、図をどこに書くのか、などのテクニカルな面も大事で、数学が関係ないところでも差がついていると言えるのではないでしょうか。

各大問の問題分析とその対応は、会員限定コンテンツにて公開している動画に収録されております。是非ご確認ください。

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2024年共通テストに向けた今後の指導について

今年の共通テストから見えた今後の指導

今回の難易度が続くとするならば、共通テストに向けての指導のポイントは、(1)教科書+問題集・参考書の**レベルまでを完璧にする、(2)その基本レベルの問題をどれだけ深められるか、(3)速く正確な計算力、(4)長文対策の4つです。まずは教科書と問題集や参考書の**レベルまでの問題を完璧に解けるようにしておきましょう。基礎・基本を押さえておくことが大事です。

そして、基礎・基本から先生方の日々の授業をいかに深められるか、考えさせる授業ができるかが指導のポイントです。授業はHow型からWhy型の指導にしていきたいですが、全部をWhy型にするのは難しいので、How型、Why型の発問のバランスを意識して指導しましょう。

定期テストなどで意識したい問題作成の方針

定期テストでは、3つの「ゆう」(有名、誘導、融合)を意識した問題を作ってください。定性から定量を常に意識することも大事です。今回の共通テストでも、微積は定量と定性をいったりきたりしていました。言葉、図、表、グラフから数式にできるように意識した問題を盛り込んで出題しましょう。

分析をしっかりとして来年の指導につなげる

今年は比較的穏やかな問題で、受験生にとっては良かったのではないでしょうか。しかし、来年が3度目の正直で一番大事です。昨年と今年を踏まえた指導をしてほしいと思います。分析をしっかりして、来年に向けた指導につなげていきましょう。

質疑応答

Q.
問題文の読み取りができず数学の話しに入っていけない生徒について、数学の授業の中でできることはどのようなことがありますか?
A.
レベルにもよりますが、教科書の音読がいいと思います。音読のあと、教科書をふせて「どんな問題だった?」「何が条件になっている?」と聞いてみることも有効です。最初は短い問題文から、徐々に長い問題文へとステップアップしていきましょう。そのステップとして中学入試から高校入試、共通テストへ、のようにして段階を踏んでもいいと思います。もしそれも苦手だというなら、小学校の問題でもいいと思います。簡単な問題から、何が仮定で何が結論か、何を求めればいいのか、を考えていきましょう。
Q.
新課程の共通テストの傾向や難易度がどうなりそうか教えてください。
A.
数学の共通テストは新課程になっても急には大きく変わらないのではと感じています。共通テストは3回目が大事だと思っているので、次の共通テストに注目したいです。また、本番の出題側が現場の現状をどの程度理解してくれているのかにもよりますが、難易度的には前回と今回の中間くらいの問題ではないかと考えています。傾向としては、学習指導要領にのっとった力が求められる問題ができてくるのではないでしょうか。今はストックがあまりありませんが、出題側もストックが溜まってくると、短い中でも本質を聞くような問題ができてきます。教員は奇をてらう長文対策をする必要はなく、王道に戻った本質に迫った授業をしていけばいいのではないかと感じています。

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2023年 2月 4日 開催
2023年 3月16日 公開

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