研究会レポート(国語)『2024 大学入学共通テストに求められるチカラとは』

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2023年2月11日 開催 研究会レポート(国語)
『2023大学入学共通テストの問題分析のご報告と指導事例』

2023年2月11日(土)、埼玉県立大宮高等学校・田中淳一先生をお招きし、オンラインにて「2024大学入学共通テストに求められるチカラとは」を開催いたしました。ご講演内容をレポートいたします。

研究会の詳細

講師紹介

田中 淳一先生
埼玉県立大宮高等学校 教諭。 大学卒業後、北海道公立高等学校教員、大学院進学を経て、埼玉県公立高等学校教員として採用される。進路多様校、総合学科高校、現任校と埼玉県で3校経験。大宮高校では、共通テスト一回目受験生となる入学生の学年主任として持ち上がり、送り出した。現在は、進路指導主事(3年生も担当)。 教科は国語科。学校外では、共通テスト、大学入試対策参考書等の執筆協力も行う。

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研究会 2024大学入学共通テストに求められるチカラとは
~2023大学入学共通テストの問題分析のご報告と指導事例のご講演~
講師 埼玉県立大宮高等学校 田中 淳一
日時 2023年2月11日(土)14:00~16:00
対象 2024大学入学共通テストをご指導される高等学校の先生
開催形式 ZoomでのLIVE配信

研究会レポート

講演の主な内容

・「教える」ことへの基本的考え方
・2023年共通テスト国語の分析
・2024年共通テストに向けて
・現2年生ご担当の先生方へ ~基礎を固めて発想力・考察力を高める~
・質疑応答

「教える」ことへの基本的考え方

私はプレテスト(試行調査)の研究や共通テスト一年目の変革期を通じて、どうなるか分からないときこそ下手なことをせずに基礎・基本を固めようと思い、実践していました。生徒指導に関しても基礎を固めることを大切にしていて、ずっとこの考え方は変わっていません。2023年共通テスト国語の結果は、全国平均105.74点に対して大宮高校の平均点は141点でした。時間勝負になるからこそ、基礎・基本をしっかりと固めた結果だと思っています。

2023年共通テスト国語の分析

2023年は文章の抽象度が高く、時間がかかった

2023年の共通テスト国語の平均点は105.74点と、昨年に比べて平均が4.52点下がりました。非常に資料の多い問題でしたし、文章自体の抽象度が高かったことが難易度を上げ、時間内で全問解くのは難しいと感じました。古文ではベネッセコーポレーション刊行『重要問題演習 古典』の中にあった文章が出題されていましたね。本校ではこの問題集を使用していたので、これで時間内に解けたという生徒もいました。共通テストになって、ますますスピード勝負の色合いが強くなっていると感じます。時間がない中でいかに正確に解けるようになるかは、低学年からの基本的事項の理解と定着がポイントだと考えています。

国語の本質を大事にすること

大きく問われていたのは国語の基本問題である「どういうことですか」「なぜですか」の二つです。文章読解問題ではまずは本文を読み取ること。しっかり自分の解答を構築したうえで、選択肢を吟味しないと外します。本質は文章をいかに読むかであり、共通テストでは本質をないがしろにすると時間がかかるうえに正解にたどり着くことができません。

古典は単純な暗記では解けない

共通テストになって単純な暗記で解ける問題がなくなりました。文法事項や知識が幅広く問われます。また、数多くの読書体験も重要です。2023年の漢文については抽象的な政治論で読み取りづらかったうえ、第1・2問で時間がかかってしまって、時間的にも厳しかったのではないでしょうか。漢文は授業で声を出しての訓読も重要です。共通テストの古典では、知識的背景がないと解けないものが意識して作られていると感じます。

他教科でも求められる国語の重要性

共通テストではどの科目も資料が多くなっており、情報処理に時間がかかってしまいます。だからこそ国語の重要性が問われているのではないでしょうか。しかし、新しいことはなにもなく、まず基礎を固める。これが近道だと思います。

2024年共通テストに向けて

共通テストに向けて必要なことは、基礎・基本の定着、基本的学力を基盤にした考察、情報処理能力の3つです。

基礎・基本の定着

まず、基礎・基本の定着を外すことはできません。基礎・基本の定着としては、現代文では、漢字・語句の知識と文章を理解する力。古典では古文単語と、文法、漢語の読み、意味、句法など基礎知識の定着、文学史、文化の知識。これらを単純暗記ではなく、いかに楽しく理解できるかだと思います。

基本的学力を基盤とした考察

基本的学力を基盤とした考察は、問題を正確に読み取り、考えて解答を作る力、つまり記述できる力が基本だと思っています。そのために本校では1年生から授業中にも記述をさせています。生徒は答案を周りの生徒と見比べて、自分の解答との違いやよさに気づいていきます。

情報処理能力

テストで複数資料問題を作成して出してみると、生徒は解くのに時間がかかることがよくわかります。複数資料には、授業、定期テスト、問題集など、さまざまな場面で慣れていきたいですね。テキストをもとに発展的に考える力を養成するのは、教員のアイディア勝負です。他にも可能な限りさまざまな場面で教科書にプラスして能力を高めていってほしいと思っています。

現2年生ご担当の先生方へ ~基礎を固めて発想力・考察力を高める~

共通テスト併用の大学も増え、共通テストの重要度が増しています。国語では、基礎を固めていかに自分で解答が書けるかが勝負の分かれ目です。まず何が出題されても驚かない耐性をつけましょう。特に複数資料はどのような形で出題されるかわかりません。

大学共通テストの問題作成方針からも、単純に情報を受け取るだけではいけないと感じ、「主体的・対話的で深い学び」の必要性も感じています。我々がいかに授業を変えていくか。変えた中で基礎を固め、発想力・考察力を高めていけるかが問われているのではないかと感じています。他に、新しい流れについて可能性を示すことも大切です。ただし、何ができるかは学校によると思います。自分のできる範囲で生徒に訴えられれば、生徒は真摯に受け止めて頑張ってくれます。先生方も身体を壊さない範囲で、一緒に頑張っていきましょう。

質疑応答

Q.
試験時間に対して分量が多すぎる共通テストを解く際、指導で気をつける点があれば教えてください。
A.
複数資料など難しいと感じるところは後で、確実に点数が取れる読解から解いていく。生徒は全部解こうとしますが、時間をかけるべきではないところもあるので、判断を早めにしたいですね。生徒にはトータルでいかに点数を稼ぐかの話も演習中にしています。
Q.
複数資料の読み方・教え方のコツがあれば教えてください。
A.
練習でさまざまな問題にあたるのがよいと思います。3年生だけでなく、1~2年生から基礎力があれば解ける複数資料の実力問題を、定期テスト等で出題するのもおすすめです。
Q.
思考力・判断力・表現力を育成する課題の作り方を具体的に教えてください。
A.
私は旅行案内と授業で扱った文章を組み合わせて問題を作成しました。できるだけ生徒に興味を持ってもらえそうなものを選んでいます。中心となる資料から別のものを結びつけるのは教員の腕の見せどころです。
Q.
普段の授業で、共通テストにここが出そう、などの予想を生徒に話しますか?
A.
基本的に共通テストの出題は読めないので話していません。文学史の知識は「最近この作家が没後何年だから」というようなことは伝えます。あらゆる分野を授業で取り上げて、どのようなものが出てもよいように工夫しています。

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2023年 2月 4日 開催
2023年 3月24日 公開

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